「お前のスーツなんか変だぜ?」
「ああ、死人が載っているからな」
ネタバレするので注意 先行上映+IMAX 3Dにて鑑賞。
言うなれば 「換骨奪胎*1で精神を受け継ぐハリウッド大作」 か。
原作は「ケイジの飲む、リタのコーヒーは むせる 苦い」とでも言うような一種の哀しさがあるのだが、そういった要素は中盤に別の形で収集し、大きな犠牲を払ってすべてを終わらせたキミにはこのオメガがハッピーエンドをプレゼントしてやらなくもない というような具合でキレイに収まってる。んだけ原作派だとラストバトルもしなけりゃいいところまで戻りおって、むせぬというのは無きにしも非ず。ループが輸血で失われたとかオメガを追えなくなったとか、実は勝手にそう思ってるだけで実はあの時オメガがリタに・・・とかラストバトルにつなげる伏線要素だと誤解してしまったぞう
でも、映画独自の家のシーケンス「ここが君が来れる最も遠い場所だ」から、ループ後一人でドイツの想定敵本拠地に乗り込むトムの決意した顔はぐっときた。あと、主人公が降格軍人と言う設定、最後に利いてくるのもなんか好き(冒頭のクズっぷりは擁護のしようが無いが)
理不尽な暴力(クルーズは死ぬ)のリタ、なんだかんだでアンタもひどい将軍、加えてすっかり部下をみっちりしごく管理キャラに昇格してるビル・パクストンとその愉快な部下たちJ分隊とお約束すらもメタに取り込んでいるが、個人的に「フィクションにおいて主人公の乗るヘリやVTOLはよく墜ちる*2」までメタとして取り込んで「ならせめて移動くらいやれや」と地面を這う様はちょっとうならされた。あと、なるだけ酷い目にあってるシーンは最小限に最大限の効果(主に腹筋)を狙ってループ中から抜粋してるところもにくい。「今日は将軍を撃つなよ!」 あと成長がまったく無いモンタージュとか。
しかし、
- リタにはワープ能力が無い(失われている)
- そのため毎回大量の事情説明を行う(本編では要所のみでカットされる) とここまでは原作準拠として
- 「そんなことなぜ知ってるの」「いや前のループでお前しゃべったぞ」「(恨むぞ前ループの私ッ・・・!!)」
- コーヒーに砂糖を大量に入れる(ケイジいわく三つ)
これ、別作品のヒロインでねぇかという疑惑が多々。 お前前世で助手とか言われてなかったかッ
(※本気では言っていません個人の印象です)
パワードスーツこと機動スーツは最終決戦でフェードアウトしてしまうのが悲しいものの、「すごい武器を扱う」「すごいスピードで動く」「そこそこ装甲も厚い」そして「すごい怪力でクルマも壁もぶち壊す」大活躍ぶり。そう、パワードスーツを出すなら、パワードスーツにしか出来ないことをやらないとダメなんだよ! スラムのニンジャになれるとか吹かしてたくせに日本刀一本でヘニョヘニョだったエリジウムの不満も大分払拭される。そしてこれらがノルマンディー上陸の再現をやってくれるというなんというメカの贅沢愉悦時空。ただ、残念なことにパワードパンチはあってもパイルバンカーはない・・・なんでや・・・リタの得物はいちおうそれっぽいのに
他にも「メガネ・ドジッ娘天才キャラ」や「人気栄養士」のリストラは悲しい。向こうの洋画ではリアル、というより「ビリーバブル(信じられる)」という概念が大事にされるそうだが、そういうキャラは現在進行形で軍隊を運用してるような社会ではこういったキャラクターは”ビリーバブルではない”ということか。まあHALOとか見てても分かる気はしなくも無い
が 残念である 残念だよ!
(大事なことなので二度書いた 撃鉄を起こしつつ)
その他雑多な感想 追加されるかもしれない
- 今回のケッテンクラート症候群担当:ポモルニク型エアクッション揚陸艦
ポモルニク型の詳細wikipediaはこちら
LCACも出て燃えてたけど、こちらが複数出てきたのでちとびびった。揚陸舟艇ではなく「艦」。中国が欲しがってるそうなので追加量産されたタイプだろうか。それ以外だとCH-47があんな時代にもがんばっていた。まあ日本外人部隊も愛用してるからな。上空支援機はハインドとコブラ?ユーロコプタータイガー? - エクソスーツの日本語ナビ 「こにちわー!!」「あんぜんそうちかいじょしましたぁ!!!」なんだそのテンション
- ワイヤ減速降下装置、母機がやられてるのに使うの怖いだろ いやパラシュートとかなさそうだから他の手段といっても無理だけど
- パンフによると機動スーツはケイジら標準的な「ドッグ」、キンメルやスキナーの重装型「タンク」、リタの高機動型「グラント」に分かれるようだが、ドッグタイプの主力火器は意外にも5.56mm。原作知ってるとなんか不安にならなくもないが向こうの人的にはこれもビリーバブル?
oliverscholl.com » EOT-Exosuit
デザインしたスタジオのサイトで見られるコンセプト色々。現実世界のエクソスケルトンの延長上だが、飛行型や地を這う車輪走行型みたいなびっくりドッキリメカも - 大型VTOLにはパワードスーツでも生身でも使えるパワード銃座。似たようなアイデアは既にあるそうだ それ以外のパワードスーツ対応既存兵器も見たかったかも
- やさぐれケイジ君パブで昼からビール で使っているのは伝統的ジャグ(角がついてるディンプルグラス)は昔はメジャーだったが製造の関係で一時市場から消え、最近復刻したらしい。ちょっと使ってみたい。
- オープニングのギタイ侵攻のニュース画像でチェリャビンスク隕石の動画が多数。でも死者が出てたらこんな感じでフィクションに使われることは無かったかも。
- ケイジの前で初登場してなんか即死するリタ。最初は興ざめするかと思うが、この映画だとリタも中盤バタバタ死にまくるのである意味問題ない。
「進んで30秒待って左から~」 「はっきり教えてよ、私の命かかってるんだから」 - ヴェルダンやノルマンディーはかつての大戦での舞台。ノルマンディーならオーバーロードだろと思わせての「オペレーション・ダウンフォール」
ダウンフォール作戦と名のつく作戦といえば、かの「日本本土上陸占領作戦」につけられたコードネーム。「日本原作の日本再上陸」? ま、まさかな。 - 基本的に死ぬ”瞬間”にループで戻るケイジ君だが、最初の腕立て大脱出→失敗のとき「このアホウはいったい・・・」と曹長がぼやく暇があったのであの時点では意識があるようだ ああ、あまり想像したくない
- iOSとAndroid向けの公式FPSが無料配信されている。タイトルの都合上か日本語には対応せず(英語だけで3種あるのに)
Edge of Tomorrow Game - Google Play の Android アプリ
死ぬとチェックポイントまでだけ戻る親切仕様だが、死亡リプレイのつもりが巨大なVTOLに押しつぶされて画面を占有されるのはどうにかなりませんか。なお、敵が来たらグレネード もしくは後ろに下がって無視してくれるのを待ちライフル のどちらかでなんとかごり押せる。
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 桜坂洋
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/04/05
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
原作もやはり表紙変更かと思ったがエンダー形式の二重カバーっぽい
コミカライズ 原作準拠で機動ジャケットはredEyes風味の頼りなさでむせる。